研究支援室長 武原 格
当院の脳損傷者に対する運転再開支援は、2007年より開始しています。その当時は、脳卒中や脳外傷者が自動車運転を再開するということに対して、否定的な雰囲気が強く、またどのような手順で運転再開を進めればよいのか、どの程度の障害ならば安全に運転再開可能かなどが全く分かりませんでした。
そこで、当院のリハビリテーションスタッフ達と2008年に障害者自動車運転研究会を立ち上げ、臨床・研究・啓発活動を進めてきました。この研究会はその後全国的な発展を遂げ、2022年に日本安全運転医療学会に発展しました。
この活動の中で、実際の運転能力の評価および運転能力向上のために、ドライビングシミュレーターが必要と考え、本田技研工業に協力のお願いをし、ドライビングシミュレーターをお借りすることが出来ました。その後も本田技研工業と協力し、小型のドライビングシミュレーターであるセーフティーナビ(図1)を導入し、ソフトウェア開発も行ってきました。
他にも現在当院で使用している大型のドライビングシミュレーターの三菱プレシジョン(図2)を用いて昨年度までマツダ株式会社と共同研究として、運転中の視線計測を行ってきました。
現在、脳損傷者の運転再開支援は、リハビリテーション医療の一分野として確立し、全国的な広がりを見せております。当院でも年間約80人の脳損傷者の方々の運転再開支援を行っております。今後も脳損傷者の方々が安全に交通社会へ復帰するための支援を継続してまいります。
図1 セーフティーナビ
図2 三菱プレシジョン
※東京都リハビリテーション病院広報誌「ほっトリハ」45号(2024年7月1日発行)より転載
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